インターネットを通じて必要なサービスを必要な時に利用するクラウド・コンピューティングや複数のハードウェアを自由に設計できる仮想化技術、スマートフォンやタブレット端末のスマートデバイスなどIT(情報技術)の進展で、ソフトウェアが急速に高度化・複雑化しています。このためデータ消失やプログラム誤作動などの品質リスクが高まり、その原因究明や復旧に時間がかかるという、システム開発・運用担当者の責任はかつてないほど重くなっています。工業製品と同様に、ソフトウェアもテストが必要なのは言うまでもなく、ソフトウェアに潜む不具合(バグ)に迅速かつ的確に対応していかなければなりません。
しかしながら、高度化・複雑化したソフトウェアの品質を担保するためのテストは容易ではありません。このためソフトウェアテスト技術者の育成を図ることを目的に、オーストリア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、スウェーデン、オランダ、イギリスの8か国のソフトウェアテスト関連の委員会が2002年、共同で国際ソフトウェアテスト資格認定委員会(International Software Testing Qualifications Board、ISTQB)を設立。イギリスの情報システム試験委員会(ISEB) が先行して作成していたソフトウェアテスト技術者向けの認定資格のシラバスを基に、国際的な資格試験を始めました。2017年12月時点で、世界120か国以上で実施され、認定者は57万人を超えています。日本では日本ソフトウェアテスト資格認定委員会(JSTQB)がシラバスと試験内容を作成し、日本科学技術連盟が試験を実施しています。
資格試験は基礎と応用に分かれ、組織内の資格者数に応じて、プラチナ・ゴールド・シルバーの3種類で認定。オービックでは自社開発のソリューションに対する品質向上を目的に本資格の取得に力を入れており、21年2月には最低3人の応用資格者、30人程度の資格者を持つ企業に与えられるプラチナを取得しました。プラチナはソフトウェアの第三者検証を専門とする企業が主な取得者で、2021年6月現在日本では11社しかありません。オービックはそのうちの1社で、統合業務管理ソフトウェア(ERP)会社では初のプラチナ取得企業になりました。