情報システムセミナーレポート[2020年 新春] 経営管理 ライバル・異業種企業の会計分析で強い企業をめざす

2020年2月6日(木) 東京会場

C31
13:00〜14:00
—会計目線で企業事例を読み解く—
勝ち抜く企業の秘訣

小宮 一慶 氏
小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO

混迷する時代を勝ち抜くために、経営者は同業や異業種の企業を会計目線で分析し、経営戦略に活かすことが求められます。強い企業はなぜ強いのか。苦戦している企業はなぜ苦戦しているのか。両社を分ける原因は何なのか。数多くの企業経営を指導してきた小宮一慶氏が具体的な企業事例をもとに鋭く考察しました。

経営の最も重要な仕事は事業の方向づけ

企業規模の大小を問わず経営という仕事は、①事業の方向づけ、すなわち何をやり何をやめるかを決める ②経営資源=人・モノ・金を最適に配分する そして③人を動かす――という3つの要素から成り立ちます。中でも最も重要なのが長期的な視点で事業の方向性を決めていくことです。財務諸表を読み解き分析すると企業の方向性が見えてきます。
財務諸表は安全性、収益性、将来性の切り口で分析します。安全性は手元流動性、流動比率、自己資本比率、収益性は売上高営業利益率、資産回転率、ROA、ROE、将来性はフリーキャッシュフロー、特に現事業維持のための営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローVS減価償却費 がポイントとなります。小宮氏は3社の財務諸表により実際に分析を行った。

収益性、安全性、将来性に優れるJR東海

東海旅客鉄道の2019年3月決算は売上高1兆8781億円に対し営業利益は7097億円、売上高営業利益率は37.8%という驚異的な数字になりました。東海道新幹線で大儲けしているわけですが、リニア中央新幹線で東京から名古屋まで5兆円、大阪までなら9兆円かかり、国からの借金と自前のキャッシュフローで賄うことを考えると、これぐらいの利益を上げていかなければならないのは当然と思います。

連結貸借対照表を見ると、資産の部、流動資産の中央新幹線建設の資金管理信託に2兆6705億円あり、長期借入金は3兆円です。負債はどこかの時点で必ず返さなければなりませんが、純資産は株主から預かっているお金で会社を解散しない限り返す必要はありません。営業キャッシュフローは6003億円で、減価償却費は2112億円。投資キャッシュフローの設備投資、有形固定資産の取得による支出は△3654億円ですから、減価償却費の50%増の投資を続けていることがわかります。キャッシュフローマージンは営業キャッシュフローをどれだけ稼ぐかを表す指標ですが、営業キャッシュフローを売上高で割った値で7%を超えていれば合格、10%はすごく稼いでいると言われますが、JR東海は32%と驚異的です。収益性、将来性に加えて安全性の観点でJR東海は財務をうまく運営できていると言えます。

手元流動性、流動比率、自己資本比率で安全性が見える

大塚家具は経営体制を巡り創業家の対立が続き倒産せざるを得ないと思っていましたが、ヤマダ電機の傘下に入り、再建に向けた財務基盤ができたようです。決算は赤字が続いていますが、自己資本比率が60%を超えています。簡単には倒産しないでしょう。

手元流動性は月商の何倍の現金及び預金を持っているか、で判断し、ふつう大企業は1カ月、中堅企業は1.2−1.5カ月、中小企業は1.7カ月あれば健全といわれます。大塚家具の2019年9月末の第3四半期決算をみると、現金及び預金は21億9000万円、月商は約23億円ですから、ぎりぎりで回せます。一方で在庫は88億7000万円と7.8カ月分あります。ちなみにニトリの在庫は約2か月分で、大塚家具の3倍超のスピードで回転させていることになります。原価率はともに50%ほどですが、ここが収益力の差になっています。営業赤字も続いており、ヤマダ電機の営業戦略的タイアップの成果など今後の推移を慎重に見ていく必要があるでしょう。

セグメント情報から収益構造が見えてくる

セブン&アイ・ホールディングスの2019年2月期はセグメント別にみると、営業収益が海外コンビニの2兆8210億円に対し国内コンビニは9554億円と3分の1しかないのに、セグメント利益は国内コンビニが2467億円と連結利益4115億円の半分以上を生み、海外コンビニの922億円の3倍近くあります。国内コンビニと海外コンビニは売上高営業利益率が26%、3%、利益を資産で割ったROAが21.5%、6.7%と収益性の明らかな違いがあります。国内コンビニはフランチャイジーからのロイヤリティ収入が多く、海外コンビニは直営店が多いことが影響しています。このように一口に収益性と言ってもセグメント別にみると、大きな差があり、きめ細かく分析することで収益構造が見えてきます。

財務諸表から経営の方向性を見出す

財務諸表からは企業の方向性やさまざまな状況が読み取れます。会計目線の分析を活用し変化の時代を勝ち抜いていきましょう。と小宮氏は締めくくった。

今後のセミナー開催案内をご希望の際は下記よりお問い合わせください。(案内状が出来次第、ご連絡させていただきます。)
  • お電話でのお問い合わせはこちら

    フリーダイヤル0120-023-019(受付時間:平日9:00〜17:30)