情報システムセミナーレポート[2020年 新春] ITトレンド キャッシュレスで切り拓く新金融ビジネス、課題と展望

2020年2月6日(木) 東京会場

C12
9:30〜11:00
海外事例から学ぶ、日本のキャッシュレスの課題と今後の発展予測
—新規金融ビジネスの可能性を探る—

川野 祐司 氏
東洋大経済学部教授/日本キャッシュレス化協会代表理事

近年、急速に広がるPay事業や国のポイント還元制度などにより「キャッシュレス」というキーワードが一躍、注目されています。しかし、日本のキャッシュレス化は遅れており、早期導入が競争力向上の鍵を握ります。キャッシュレス化は現金コストの削減だけでなく、データを利用した業務効率の改善や新規事業にもつながります。当セミナーでは、日々増えていくキャッシュレスの種類やトレンド、海外先進事例などを紹介するとともに、日本の課題と今後の発展予測、業界が注意すべきポイントなどについて解説しました。

キャッシュレス度、日本は28カ国中27位と最低水準

川野氏は冒頭日本と世界のキャッシュレス化の現状を紹介した。日本キャッシュレス化協会の「JCAキャッシュレス指数2019」によると、先進地域の北欧だけでなく、欧米やアフリカ、アジアでもキャッシュレスが進展する一方で、日本は28カ国中27位と非常に遅れている。

JCAキャッシュレス指数2019

欧州は複数の銀行が統一サービスを展開、オープン化を進め、米州は米国でVenmoやZelleなどの「割り勘アプリ」が普及。アフリカは銀行口座を持つ人が少なく、電子マネーが発達して、国境を越えたサービスも広がり、国際送金ができるまでになっています。アジアは電子マネーが普及し、日本は訪日外国人旅行客に対応するために複数の決済手段を確保しなければならない状況になっています。

キャッシュレス化の発展段階

次に川野氏はキャッシュレス化の発展段階に話を進めた。
キャッシュレスは一部の小売店やECサイトのクレジットカード利用から導入が始まり、キャッシュレス支払いの場面と種類が増え、会計の自動化,企業間の連携が進む拡大期を経て、病院や自治体、交通機関、税務、送金まで利用が広がる普及期と進んでいきます。そして今後はキャッシュレスがデジタルエコノミーの基盤となり、生活・ビジネス全般で利用され、あらゆる経済・社会活動がデータ化され、統合していきます。

キャッシュレスの発展

キャッスレス化は何をもたらすのか

こうしたキャッスレス化の進展は私たちに何をもたらしてくれるのでしょうか。
1つ目は効率化です。現金ハンドリングコストの削減、会計処理の自動化(クラウド会計,AI)、承認手続きの自動化(AI,スマートコントラクト)などによるバックオフィス業務の削減などさまざまな効率がアップにつながります。

2つ目はバンドルサービスによるビジネスの拡大です。
金融業界ではすでにチャレンジャー銀行が登場していますが、異業種とのバンドルも有望で、行政分野やヘルスケアが有望な分野です。

3つ目は社会問題の解決です。
キャッシュレス化は金融包摂(financial inclusion)を達成させる手段となります。生活に関わるデータを統合することで、社会的に弱い立場にある人々の改善にもつながり、社会問題への対策は援助ではなくビジネスとして成立するはずです。

キャッシュレス化推進に何が求められているのか

キャッシュレスに取り組む業界が注意すべき点は3つあります。1つ目は「供給者が供給したいものは長続きしない」ということです。「利用者が何を求めているのか」「利用者の生活をどのように改善するのか」「社会はどのように改善されるのか」を考えるべきです。2つ目は「データの囲い込みは無益」ということです。データは自前主義を止めてオープンにすることで初めて価値が生まれます。顧客データなどの自前の管理には莫大なコストと社会的責任が伴うため、データ管理会社に委託するのがベターです。3つ目は「技術に対する理解」です。現場のエンジニアだけが技術を理解するのはダメで、現場をコントロールする側や経営トップ層にも技術的理解が不可欠です。複数の製品やサービスを組み合わせて提供するバンドルサービスを展開するためには,幅広い情報収集能力や総合的に考えることができる人材の確保、育成が重要です。

キャッシュレスが進展すると現金は不要になるのか?とよく聞かれますが、現金が不要になるのは非常に先の話です。今後はキャッシュレスと現金システムを両立させる努力が欠かせません。と川野氏は講演を締めくくった。

キャッシュレス化に向けたオービックの取り組み

オービックは会計システムを中心としたERP「OBIC7クラウド」で経費精算などにキャッシュレスへの対応を進めています。顧客がスマートフォンやパソコンを通じて金融サービスを利用する際、貸金でも割賦でもリアルタイムに連携して決済できる機能を提供していきます。また会計管理のノウハウを活用して、新たなファイナンス事業を提案していきます。

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