[第7回]1分でわかる!デジタル庁に見る政府のデジタル戦略

デジタル戦略の概要

政府は2020年7月、全ての国民がデジタル技術とデータ活用の恩恵を享受し、安心で豊かな暮らしを実感できるデジタル社会の実現に向け、政府全体のデジタル戦略を「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」として閣議決定しました。
新型コロナウイルスの感染拡大がデジタル行政の遅れなど「働き手・学生・生活者がオンライン化を実現できていない現状の不自由さを身をもって体験する初めての機会」になったことから「デジタル技術により国を強靱化し経済を再起動する」と社会全体でピンチをチャンスに変えるデジタル化を推進することにしました。

デジタル化の推進

デジタル庁とは

デジタル庁は各省庁のデジタル化を推進する司令塔で、2021年秋までに設置される見通しです。省庁や地方自治体など行政機関の間でスムーズにデータをやりとりし、行政手続き全般を迅速化するとともに、マイナンバーカードの普及も推進し、健康保険証や免許証など様々な証明カードを統合していく考えです。

日本のデジタル化の現状と課題

コロナ感染を機に在宅勤務や学校のオンライン教育などが急速に進みましたが、不具合が次々と生じ、解決すべき課題がたくさんあることがわかってきました。給付金や助成金はオンライン手続きが一時滞り、国と地方のシステムの不整合が明らかに。テレワークではオンライン化できない業務への対応が課題となり、集まったビッグデータの活用とプライバシーの保護をいかに両立させるかなど、デジタル化の基盤とノウハウの不足が明らかになりました。

デジタル化のメリット

時間や空間を超えて直接目的に達することができるのが最大のメリットです。瞬時に情報を複数箇所に送ったり、デジタルの空間でモデルを作ったりシミュレーションをしたり、データを様々に加工、利用できます。最近は進化したデジタル技術を社会に浸透させることで人々の生活をより良いものに変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の持続的な成長や社会の安定、生活の質向上に欠かせないものとして普及し始めています。

ITCの現状に関する調査研究
出典 : 総務省HPより、「我が国のICTの現状に関する調査研究」

日本のデジタル化とデジタル庁のこれから

日本のデジタル化は先進各国に比べ遅れをとっていますが、行政手続きの押印原則廃止など「世界最先端デジタル国家」に向けた準備が少しずつ進んでいます。デジタル庁はこうした省庁間共通の施策について音頭をとり、自治体のデジタル行政を後押しします。民間は大手を中心にDXを社内に浸透させ、安定した収益拡大につながる新たなビジネスチャンスをつくろうとしています。デジタル化は長年の日本全体の課題でしたが、コロナをきっかけにようやく動き出したといえるでしょう。