クラウドファンディング(crowdfunding)は、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットなどを通じて自分がやりたいこと、たとえば「こういう社会問題をこうやって解決したい」「こんな新製品を開発、新サービスを提供したい」などを具体的に実現可能な手法で発表し、趣旨に賛同する不特定多数の人から必要な資金を融資(投資)や購入、寄付などで集める手法を指します。
個人や企業はこれまで金融機関や自社、家族や友人など自分の身の回りに限られていた資金の調達先を一挙に広げ、調達金額の目標を掲げることで実現可能性が高まります。お金を出す方もたとえば環境問題を解決するプランに寄付して問題が解決した場合、環境保護に役立ったという満足感と達成感、安心感を得られます。購入型ではたとえば製品やサービスの開発・提供の場合、他の人より前に入手、利用できるなどの特典を用意するケースが多いです。融資の場合は利回りなどの金銭的なリターンを期待できます。
対象となる分野は街づくりから福祉、防災、環境保全、映画製作やアーティストの支援などの芸術・文化振興、社会・政治運動、製品開発、サービス提供、ベンチャー・創業支援、科学研究などと幅広く、お金の出し手と受け手を引き会わせるプラットフォームとして各種サイトが開設、運営されています。日本では2011年に初めてクラウドファンディングサービスサイトが開設され、現在では地域に特化したサービスや社会問題解決型のサービスなど各種サイトが運営されています。
課題はインターネットを通じてお金を集める仕組みをとることから、悪質な事業者を排除し、公正かつ確実に目標を達成する実績を積み上げ、社会や市場から長期安定的な信頼を勝ち取ることです。
そのためには寄付者や投資家へ質、量、正確性いずれも十分な事業計画の情報を提供し、事業の進捗状況を随時報告する仕組みづくりが必要です。寄付金や資金を調達する側はネットからの情報漏洩に十分注意を払い、知的所有権を守らなければなりません。お金を出す側はお金がきちんと使われているか常時チェックし、個人情報の流出を防止する仕組みづくりを検討しなければなりません。
世界銀行の予測によると、クラウドファンディングの市場規模は2025年に投資金額で960憶ドル(約10兆円)に達するとみられていますが、日本は2018年度にようやく2000億円台に乗ったところです。しかしそれだけ成長余力は大きく、最近は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展加速で、ネットを使う新たな社会貢献、投資の仕組みとして、今後ますます脚光を浴びることは間違いありません。