「当社の現場のサービス力に対するお客様の評価は高いですよ」にこやかな笑顔でこう語るのは、T社のK社長だ。
同社は、昭和48年5月、東京大手町の旧三和銀行東京ビル(現三菱UFJ銀行大手町ビル)の建設を契機に、ビル総合管理会社として設立。以来業容を拡大し続け、平成11年には免震構造の現本社ビルを完成し遠隔監視センターを同所に移転。平成17年1月には、ISO 9001 品質、ISO 14001 環境、OHSAS18001 労働安全衛生、の3部門認証を同時取得している。
一方、ビルメンテナンス業の場合、契約や請求をはじめとする事務量が膨大であり、同社でもコンピュータシステムの活用は長年にわたっていたが、業務処理における自社の独自性を強く反映した自社オリジナルシステムゆえの弊害も多々見受けられた。前システムは、ベンダーのサポート面でも大きな不安を抱えていた。そこで、自ら情報システムにも造詣の深いK社長は、自社の情報システムと業務処理のあり方を根本から見直し、刷新することを決意した。
「企業の次なる発展のためには煩雑多岐に渡る業務処理を支える土台をしっかりさせることが急務だと考えました。情報システムの刷新は標準化を推進し、社内を活性化させるための絶好の機会と考え、新システム検討を指示しました。また情報システムもビルと同じで、快適に使用し続けるには的確なメンテナンスが不可欠であり、将来にわたり安定して使用できることを選定の第一条件としました」(K社長)
こうして新情報システムの導入検討がスタートしたが、同社システム開発部長のT氏は、検討に際し満たすべき3つの条件を設定した。
「第1は、ビルメンテナンス業界に特化した、しかも納入実績が豊富なパッケージであること。第2は、会計・給与・人事など、ERPに連携できる拡張性を備えていること。第3は、将来にわたりアフターメンテナンスを安心して任せられること。以上の3点です」
同社では、数社のビルメンテナンス業界向けパッケージシステムに絞込み、慎重に比較検討した。第1の条件を満たすパッケージは複数あったが、第2の“会計・給与・人事などのいわゆるERPとのシームレスな連携が可能なビルメンテナンス業向けパッケージ”という条件は、ハードルがかなり高く、この時点でほぼ候補は絞られた。そして最終的には、オービックに決定した。
T部長は、選定の理由をこう語る。「従来システムは、オーダーメイドで使い勝手は良かったのですが、反面自社の業務を熟知しているベテラン事務員でないと使いこなせない。また各部門業務が連携されておらず、二重入力のムダがあるなど、問題点も少なくありませんでした。導入実績が豊富ということは、数多くのユーザーが使っているということであり、しいてはもっとも標準的な手法で、また全社的な最適化を追求しているものであると考えました。また、将来にわたるアフターメンテナンスという面でも、世の中に数多く普及しているベンダーのパッケージソフトを選ぶことが有利だと判断し、オービックに決定しました」