情報システムセミナーレポート[2019年 新春] IFRS・グループ経営 【導入の成功と反省】企業グループ共通人事システム

2019年2月15日(金) 東京会場

D31
13:00-14:00
企業グループの共通人事システム導入時の検討課題と観点

野村 聡 氏
HRシステム構築アドバイザー(MHIパーソネル株式会社元代表取締役)

グループ経営の効率化やグループ全体の最適化を目的に採用が進むシェアードサービス。企業グループにおける「人事・給与システム」の共同利用や、それを実現するための検討課題・留意事項などについて、エンドユーザーの立場から講演します。

標準モデル・システム選定のポイント

三菱重工人事部が機能分離した形で誕生したMHIパーソネル。三菱重工に人事労政業務を提供すると同時に、三菱重工グループ各社に人事情報システムと給与情報システムをシェアードサービスとして提供しています。これらのシステムはOBIC7で構築されています。「選定の候補とシステムをシステム系や業務系の50以上のポイントで比較検討した結果、OBIC7を採用しました」と野村氏は語ります。

「とりわけ重視したのはパートナーとしての信頼性です。システムは人が作るものであり、人がサポートするものです。売らんかな、売ったらおしまいという姿勢ではなく、客先の課題解決にともに参画する姿勢が大事」と野村氏は強調します。

シェアードサービスとしてシステムを利用することで、三菱重工の各グループ会社は資産として、ハードウェアもソフトウェアも保有することはありません。開発・維持を一元化でき、個社ごとにバックアップする必要がありませんから、BCPの観点でのメリットもあります。人事情報も一元化でき、タレントマネジメントへの連携やグループ全体の人事管理も可能となります。

共通人事システム導入の成功点

MHIパーソネルとシェアードサービスの紹介を終え、野村氏の講演はシステム導入の成功要因へと移ります。

まず、共通システムの導入には、親会社のバックアップとグループ会社の理解が必要です。事務局だけががんばっても限界があります。
「私たちの場合は、親会社の経営企画部門がグループ会社に対する共通システム導入検討を指示し、人事労政部門がグループ会社に対して、共通システム構築や共通プラットフォーム整備について説明してくれました。グループ会社も理解を示してくれたことで、経営層と現場の意識のギャップを埋めることに成功しました」(野村氏)

また、標準システムとして人事・給与を優先し、次のステップとして就業(勤怠)や、ワークフローを構築中です。
「導入の際はカスタマイズやアドオンを極力なくすことがポイントです。バージョンアップの際に面倒になるからです」(野村氏)。
今では珍しくなくなったASP(Application Service Provider)ですが、構築当時の10年前は理解してもらうのが困難でした。ただ、これにも親会社・グループ会社ともに、協力を得ることができました。

システム導入の際はグループ会社の「リーダー」の選任も重要です。「グループ会社にも、検討・推進体制の整備を要請し、とりわけリーダークラスに十分な人材配置をお願いしました。これも大きな成功要因です」と野村氏は語ります。

システム稼働後のサポート体制も配慮が不可欠。システムを導入したから、すべてがうまくいくということは決してありません。「システムトラブル時の緊急連絡、対応事例、運用事例を水平展開しています」(野村氏)。

共通人事システム導入の反省点

もちろん反省点もあります。
「システム構築を先行させてしまい、規則の標準化を後追いにしていました。本来なら規則の標準化・諸規則統一を優先するべきだったかもしれません」と野村氏は振り返ります。特に、給与諸規則は個社ごとに異なる点が多く、各種手当も多岐にわたります。これら諸規則の統一は検討中で目下の課題となっています。

コード体系の統一も、導入の際に見送ってしまったと後悔します。例えば社員番号が5桁であったり、6桁であったり、7桁であったり。「当時、グループ各社で人事交流がこれほど活発化されるとは予想できませんでした。社員コードを統一できれば、人事管理が効率化できます」(野村氏)。

役割分担の明確化と受託業務の標準化も、システム化した当時は曖昧でした。委託元会社に残る業務と、シェアードサービス会社で担当する業務の仕分けが不明確なままサービスを提供してしまいました。また、受託開始時は、標準業務フローが未確定で、各社の業務フローがまだ残ってしまいました。「シェアードサービス会社としては非効率で、見直しを進めています。シェアードサービスにアラカルトは適していません。一品定食料理が理想です」と野村氏は推奨します。

講演の残り時間を利用して、野村氏は会場から寄せられた質問に答えます。
「どのような人事業務を、サービスとして提供しているのか?」という質問に対しては、あらかじめ用意した一覧表で対応業務を示しました。ほかにも「グループの人事交流について」、「社員のモチベーション」、「親会社とのデータ連携」などの質問があり、野村氏が時間の許す限り回答していました。

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