情報システムセミナーレポート[2019年 新春] 会計管理 〜なぜ不正を止めることができないのか〜

2019年2月13日(水) 東京会場

B42
14:20-15:20
経理とモラル
〜なぜ不正を止めることができないのか〜

前田 康二郎 氏
流創株式会社 代表取締役

「経理社員の9割は、モラルでできている」。本来そのような役割であるはずなのに、組織ぐるみの不正、社員の不正は、なぜ起きてしまうのでしょうか。実際のケースを盛り込みながら、良い会社が実行している経理のあり方を、わかりやすく解説しました。

不正が顕在化しにくい・防ぎにくい理由

横領、キックバック、在庫横流しなどの不正行為はやむことがなく、その背景には個人の借金や企業ぐるみの粉飾、上司や取引先からの圧力が見られます。また、こうした不正はなぜか顕在化しにくいのが特徴です。

「まず考えられることは、不正を指摘する側にメリットがないことです。メリットがないどころかリスクさえ発生します。これでは知っていても告発する気にはなれません。内部告発して犯人捜しが始まり、悪が滅んでいく…。こうしたTVドラマのような展開は、実際の企業では起こりにくいでしょう」(前田氏)。

経営者も不正の表面化を好みません。社員全体のモチベーションが下がり、社外に漏れると売り上げや信用の低下に直結するからです。

また、防ぎにくいのにも理由があります。管理やチェックする側の知識不足です。「横領」という言葉は知っていても、簿記の知識がなければ見つけることができません。知識不足は不正をする側にもあります。現場の帳尻合わせを重ねているうちに大がかりな不正になっていくことがあります。

上司からの圧力、場合によってはトップや社外からの圧力もあり、繰り返すうちにモラルも低下してしまいます。正義感に燃えて告発してもメリットがないと知ると、社員には転職するぐらいしか手段は残されていません。

不正を起こす側の心理

不正を防ぐには、不正を起こす側の心理を知らなければなりません。ここで「数値」への軽視が浮かび上がってきます。「数値」を軽く考えているから数字も簡単に改ざんするのです。
「これは個人的な問題ではなく、組織的なレベルになります。企業としてバックオフィスを軽視しているのです」と、前田氏は訴えます。

周囲への責任転嫁をする人も多くいます。「自分の価値が認められていない。正確に評価されていない」と考え、会社のお金を自分の小遣いにしてしまうのです。
「このような方には、きちんとした評価システムにより、会社はあなたを正当に評価していることを伝える必要があります」(前田氏)。

また、通常の人と感覚が異なる場合もまれにあります。親のサイフからお金を抜き取る感覚で不正を犯してしまうのです。「会社は家族のようなもの」と考え、本人は不正をしている意識がありません。周囲から指摘されてもポカンとしていて、「警察に連絡する」と言われてやっと行為の重大さを認識するケースもあるそうです。

不正が激減する具体的方法

では、不正を防ぐ方法はあるのでしょうか。本論に入り、会場は身を乗り出すようにして耳を傾けます。

前提として「うちの経理は厳しい」と社員に印象づけることです。社員一人ひとりに対しても役員やトップにもはっきり物を言う強い態度が必要です。そのようなうるさい経理社員を敵に回してまで、不正をしようとは考えません。「そもそも経理が甘く見られているから不正をされるのです」(前田氏)。

不正はいけないことであり、確実に処分されることを常々口にして、どのような目にあうのかを社員に想起させる必要があります。これが経理のあるべき姿勢です。

具体的には3つのプロセスがあります。

  1. ワークフローを確認して、想定される不正をピックアップします。
  2. ピックアップされた不正と業務を経理部内で検討し、ワークフローを見直して、不正のしづらい構造にします。例えばダブルチェックの強化などが考えられます。同時にこのような対策を打っていることを社内にアナウンスします。
  3. 他部署と連携して不正の抑止に努めます。例えば人事部と連携して、就業規則に記述したり待遇・処遇への影響を明文化したりしていきます。

社員の入社手続時には不正に対する取り締まりと処分を徹底していることを説明します。「こうした牽制をかけることで、「会社はパブリックな場所だ」と認識し、不正が起きにくい環境を作ることができるのです」と、前田氏は強調します。

一目置かれる経理でいるためには

「経理部門には新たな役割が求められています。社員のモラル向上の推進部門とならなければなりません」と前田氏は呼びかけます。

そのためには「なぜ不正がいけないか」をロジカルに説明できなければなりません。単に「いけない」というだけでは説得力がありません。「これはぜひ皆さんで考えてください。帰社して経理担当がミーティングして話し合ってください。そのために、このレジュメでも空白にしてあります」と、前田氏はスクリーンの空白部分を示します。

最後に私見ですが、と断って前田氏は自説を紹介します。「不正が行われた後の数値で経営判断すると、その判断が狂って会社のかじ取りを誤らせてしまいます。そうした意味からも、会社は不正を防ぐ姿勢が必要です」と語ると、会場ではうなずく人の姿が多く見られました。

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