情報システムセミナーレポート[2019年 新春] 人事管理 【いよいよ施行!】年休取得義務化・新36協定

2019年2月13日(水) 東京会場

B31
13:00-14:00
年休取得義務化・新36協定への対応など
2019年4月改正事項への対応実務

大津 章敬 氏
社会保険労務士法人名南経営 代表社員 / 株式会社名南経営コンサルティング 取締役

2019年4月より順次施行される働き方改革関連法。まずは年次有給休暇取得義務化、新36協定、労働時間の客観的把握の強化、勤務間インターバル制度などの主要改正項目への対応が求められます。こうした改正事項への対応実務について、わかりやすく解説しました。

年次有給休暇取得義務化

年次有給休暇の取得は2019年4月から義務化されます。ポイントとなるのは対象者が年10日以上の従業員であり、正社員だけではなくパートタイマーも対象となることです(※)。付与日から1年以内に少なくとも5日を取得させなければなりません。就業規則の見直しが求められます。「1人あたり30万円以下の罰金という罰則も設けられていますのでご注意ください」と大津氏は注意を促します。
※週所定労働時間が30時間未満であって、週所定労働日数が4日以下又は年間所定労働日数が216日以下の者には、以下の日数の年次有給休暇が付与され、太枠のところでは付与日数が10日以上となる。

この年休取得義務化の対応は2つの視点「取得」と「管理」で考えなければならない、と大津氏は指摘します。
まずは「取得」。取得には次の3つの方法しかありません。

  • ①労働者本人の時季指定による取得
  • ②労使協定による計画付与
  • ③労働者本人の希望を聞いた上で使用者による時季指定

この解説に合わせて大津氏は、年休の計画的付与に関する労使協定サンプルを会場に示しました。

「管理」を効率的に行うにはコツが必要です。従業員を個々に管理すると複雑になるため、全社員の「基準日」を設定することを大津氏は推奨します。入社日が異なっていても4月1日を基準日とすることで、管理が容易となります。ただ、入社日によっては前倒しで与えてしまうケースもあることから、4月1日と10月1日の2日を基準日とする企業もあります。

また、有給休暇所得義務化に応じて、年次有給休暇管理簿の作成と3年間の保存が義務づけられます。これも大津氏はサンプルで示し、「Excelで作成することもできますし、システムを導入して処理を効率化することもできます」と紹介します。

労働時間上限規制と新36協定

労働基準法にはまず「1日8時間、週40時間を超えて働かせてはいけない」という原則があり、この例外として「36協定を締結し、届け出れば、月45時間・年間360時間まで残業させることができる」とされています。これが36協定です。その上で、その特例として「特別条項」の締結が認められています。それが「特に繁忙期は、特別条項を締結することにより年6回まで、月45時間・年間360時間を超えて残業させることができる」というものです。しかし、これまでこの時間数に上限がなく、過重労働の原因になっていたという指摘があり、今回の法改正でここに上限が設けられることとなりました。

「今後は特別条項を設ける場合でも、1年720時間が上限とされます。更に、短期的に極端な勤務が行われることを防止するため、単月では100時間未満、2〜6カ月では80時間という上限が設けられています。これは重要なポイントです」と大津氏は解説します。これを具体的に説明するために、スライドを示し、4月に90時間、5月に70時間残業をした場合、6月は何時間以下でなければならないでしょうと会場に問いかけます。すでに前の2カ月で平均80時間となり上限ギリギリ、6月も「80時間」を超えることはできません。

引き続き、大津氏の講演は実務上の内容に移ります。まず、「新36協定届」では特別条項専用の様式が追加され、枚数が1枚から2枚に増加しました。大津氏は具体的なサンプルを示し「健康確保措置を記入することとなります」と変更箇所を説明します。この「健康確保措置」は10項目に及び、該当する番号と具体的な内容を記述することになっています。

また、「昨年末に公開されたQ&Aを見ますと、自己申告による労働時間把握について、今後は指導が増加するでしょう」と大津氏は予想します。例えば外勤の場合、社外からリモート機能により社内システムにアクセスできるような場合には、自己申告だけでの労働時間把握は認められず、客観的把握が求められるようになっていきます。

勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度とは、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定の時間を空けなければならないとする制度です。EUでは11時間のインターバルの取得が義務化されていますが、ここ数年、日本でもこの制度を導入する事例が増えてきています。今回の働き方改革関連法の中では、労働時間等の改善に関する特別措置法の一部改正として、「努力義務化」が行われます。

実際インターバルが短くなると睡眠時間が短くなり、睡眠の質も低下します。社員の健康障害を防止するためには、労働時間規制も重要ですが、十分な睡眠時間を確保できる環境の整備も求められます。「私の所属する名南経営でもインターバル制度を導入しており、その時間は10時間としています」と大津氏は自社の例を参考に、規定整備のポイントを解説しました。

最後に、大津氏は以下のように会場に呼びかけて、講演を締めくくりました。
「働き方改革を、単なる労働時間の短縮と考えないでください。
業務量が減らず時間だけが短縮されれば、従業員が疲弊し消耗するだけです。
実際離職していく社員も増えています。働き方改革は『ビジネスモデル改革』とお考えください。
これを機会に仕事の進め方、仕事の選択、お客様との関係などを見直すことが不可欠です」(大津氏)

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