情報システムセミナーレポート[2018年 新春] 会計管理 — 建設工事業界 収益認識変更 —
公開草案で想定される建設業界における影響

2018年2月9日(金) 東京会場

D12
9:30-11:00
— 建設工事業界 収益認識変更 —
公開草案で想定される建設業界における影響

田島 哲平 氏
一般財団法人建設産業経理研究機構 客員研究員 / 新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー / 公認会計士

2017年7月に「収益認識に関する会計基準(案)」が公表されました。建設業界においても、売上基準(原価回収基準対応)や契約変更の扱いなど、さまざまな実務上の影響が想定されます。当セミナーは、これら変更点と実務への影響について解説。これを受けてオービックが、建設工事業向けの情報システムのあり方を提案しました。

収益認識に関する会計基準(案)の概要

売上をいつ、どの範囲で計上するかを定めた会計ルールが「収益認識基準」です。建設業界では、従来の工事契約会計基準が廃止となり、新たな収益認識基準にそって判断することになります。

事の起こりは、2014年にIFRS及び米国会計基準で包括的な収益認識基準「顧客との契約から生じる収益」を公表されたことによります。このような基準が日本には存在しなかったことから、2015年からIFRS第15号を踏まえ、新基準の検討に着手。いよいよ2018年3月に「収益認識に関する会計基準」等が最終基準化される予定です。
「その方針は、IFRS第15号の基本原則を取り入れること、日本の実務慣行を踏まえることの2点にあります」と田島氏は解説します。

改正点としては、収益認識は通常通り既存の工事進行基準とするものの、進捗度が合理的に見積もれない場合は、原価回収基準(基準42項)に従うこと。また、工事完成基準が原則、認められなくなります。

基本となる原則(5ステップモデルによる収益認識)

収益認識には、基本となる以下の5ステップモデルがあります。

  • ①契約の識別
  • ②履行義務の識別
  • ③取引価格の算定
  • ④履行義務への取引価格の配分
  • ⑤履行義務充足による収益の認識

契約を識別し契約する場合(結合の要否も判断)(①)、その工事内容を判別(②)、それぞれについて金額を決定(③、④)、支配の移転による履行義務の充足により収益を認識(⑤)、工事の場合は進捗につれて履行義務が充足されます。

ここから、それぞれポイントとなる改正点を紹介しました。

●契約の結合
同一発注者(または発注者の関連当事者)と同時またはほぼ同時に締結した複数の契約は、契約の結合対象となります。例外として、異なる発注者や異なる時点で締結した契約も、結合できます。「発注者との収益認識の時期および金額との差異に重要性が乏しいと認められる場合は、その複数の契約を結合し、単一の履行義務として識別できます」(田島氏)。

●契約変更の原則的な取り扱い
契約した内容に変更が多い場合の、原則的な取り扱い例も示されています。
例えば、変更により工事の範囲が拡大し、かつ、設計変更部分のみを単独工事として契約する場合は、契約変更を独立した契約として処理。施工が未了の工事部分が、施工済みの工事とは別個の単独工事となる場合は、既存の契約を解約し、新しい契約を締結したものと仮定して処理します。

●本人と代理人の区分(コストオン)
発注者との約束の性質を検討し、本人に該当するか、代理人に該当するかの判定が求められます。
本人に該当するのは、約束の履行に主たる責任を有している場合、価格設定において裁量権を有している場合、在庫リスクを有している場合等があげられます。企業が本人に該当する場合には、収益を総額で認識し、代理人に該当する場合には、収益は報酬または手数料の金額(純額)で認識します。

●原価回収基準
進捗度の合理的な見積もりができる場合、各決算日の進捗度に応じて収益認識(=工事進行基準)が認められます。一方、進捗度の合理的な見積もりができない場合は、それが可能になるまで、回収が見込まれる費用の額で収益を認識する原価回収基準が認められています。
「これには代替案が用意されています。契約の初期段階において、進捗度を合理的に見積もることができない場合は、初期段階に収益を認識せず、進捗度を合理的に見積もることができるときから、収益を認識することができます」(田島氏)。

実務への影響

田島氏の講演は、具体的な実務への影響へ進みました。
まず、製品保証(瑕疵担保責任)について。顧客への追加となる保証サービスは、履行義務として取引価格を製品と保証サービスに配分します。合意された仕様に従っているという保証は、引当金として処理します。

さらに田島氏は、重要な金融要素(金利相当分)、工事契約から損失が見込まれる場合の取り扱いについて解説しました。
「新たな収益認識基準は確かに包括的ですが、建設工事業では代替基準が多く用意されており、どのように適用していくかが判断のよりどころとなります。まずは、自社の契約形態を把握し、検討事項を明確にしてください」と呼びかけて、第1部 田島氏の講演は終了しました。

第2部を担当したのはオービック。建設業界には、オリンピックやリニアなどの追い風が吹いているものの、高齢化による担い手不足、働き方改革など、大きな課題も突きつけられています。このような中、オービックでは、市場調査やアンケートなどによりニーズを確認し、求められるシステム像を追求。「本業を強くするソリューション」「新事業に拡張できるソリューション」「経営基盤としての会計システム」の統合ソリューションが必要と訴えます。オービックは、これを具体化した理想となるシステムのあり方を提案。併せて、建設業向け限定のプレミアムセミナーをご案内しました。

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