情報システムセミナーレポート[2018年 新春] 人事管理 2019年4月施行が予定される「働き方改革関連法案」のポイントと求められる実務対応
— 過重労働対策、同一労働同一賃金などの最新情報とその影響 —

2018年2月8日(木)東京会場

C51
15:30-16:30
2019年4月施行が予定される「働き方改革関連法案」のポイントと求められる実務対応
— 過重労働対策、同一労働同一賃金などの最新情報とその影響 —

大津 章敬 氏
社会保険労務士法人名南経営 代表社員 / 株式会社名南経営コンサルティング 取締役 / 南山大学 ビジネス研究科ビジネス専攻(専門職大学院)講師

安倍政権の政策の中でも目玉の1つとなっている「働き方改革関連法案」。そのメインとなるのは、過重労働対策と同一労働同一賃金であり、2019年4月から順次施行される予定です。セミナーは午前と午後の計2回、ともにサテライト会場を併設、いずれも満席になるほど、テーマへの関心の高さがうかがえました。

労働時間上限設定関係

●残業規制
現在の36協定は上限がなく、それが過重労働の原因になっているという指摘が以前よりなされていました。そこで今回の法律案要綱では、従来、労働大臣告示で定められた月45時間、年360時間の限度基準を法律に明記した上で、特別条項を締結する場合においても、上回ることができない年間の時間外労働時間を1年720時間(月平均60時間)としています。また、法定休日労働を含め、単月では100時間未満、2〜6カ月平均では80時間以内と、二重三重の歯止めがかけられています。

また36協定についても、今後は特別条項の締結にあたって健康確保措置を定めることが求められる予定です。 「健康確保措置の実施状況は、今後の労働基準監督署調査の重点チェック事項になると予想されます」と、大津氏は企業の対応を求めます。
これが実務にどのような影響を与えるでしょうか。
年に6カ月は、残業を45時間以内に収めないと直ちに違法となるため、慢性的に45時間を超えているような状態は解消する必要があります。よって「リアルタイムに近い状態で、社員の残業等の状況を確認できるシステムが不可欠となります」(大津氏)。

●月60時間超時間外割増5割
これまで中小企業に猶予されてきた、月60時間を超える時間外労働に対する、50%割増率適用の猶予規定は廃止され、2023年4月1日からは企業規模に関わらず適用される予定となっています。

●健康確保措置
医師による面接指導実施の基準が、月100時間超から月80時間超に引き下げられます。またその適切な実施を図るため、管理監督者を含むすべての労働者を対象として、客観的な労働時間の把握が求められます。「管理職を含むというのがポイントです。管理職は適用除外者であることから、これまで労働時間把握を行っていないケースもあったと思いますが、今後は労働時間を把握することで、過重労働の実態が明らかにされる可能性があります。いまから管理職の意識改革と生産性向上が必要です」と、大津氏は前倒しの対応を提案しました。

勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度とは、睡眠不足等による社員の健康障害を防止するため、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定の時間を空けなければならない制度です。EUでは11時間と定められています。日本では、職場意識改善助成金の対象が9時間からであること、また総務省の調査で、国民の睡眠や通勤、入浴などの平均が計9時間程度とされていることなどから、9時間というケースが多くなるだろうと大津氏は予想します。

年次有給休暇

毎年最低5日の年次有給休暇を、付与日から1年以内の期間に与えなければならなくなる予定です。労働者本人の時季指定による取得、労使協定締結による計画的付与、労働者本人の希望を聞いた上で使用者による時季指定が可能です。「社員毎に年次有給休暇の付与日がバラバラという企業では、その管理の負担が大きくなるでしょう」(大津氏)。

高度プロフェッショナル制度

ここからは規制緩和になります。
一定の要件を満たした高度専門人材について、管理監督者同様の適用除外を認める高度プロフェッショナル労働制。対象者は、高度の専門的知識等を要し、業務に従事した時間と成果との関連性が強くない業務となります。「しかし、1年間の賃金(賞与を除く)が1075万円以上と定められるなど、非常に厳しい要件が設定されており、現実に適用できるケースは極めて少ないでしょう」と大津氏は予想します。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、1日の労働時間の長さを固定的に定めず、1カ月以内の一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、その総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を、労働者が柔軟に決められる制度です。今回の改正では、清算期間の上限が3カ月に延長され、1カ月間という縛りがなくなったため、大変使いやすくなります。
「導入する際には、繁忙期からの3カ月で設定し、期間前半の繁忙期の労働時間の長さを、後半の閑散期で解消するような期間設定を行うとよいでしょう」と大津氏はアドバイスします。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金の流れが強まっており、注目を集めています。
同一労働の判断は、基本的に「仕事の差(職務内容・責任の程度)」「人材活用の仕組み(配置転換・転勤の有無および範囲)」の基準で行われます。「少なくとも、これらの点で正社員と非正規従業員の差異について、説明できるようにしてください」と大津氏は語りました。今後、最高裁から重要な判例も出される予定ですので、注目しておくとよいでしょう。

副業・兼業のガイドライン

最後に、残業カットにより削減される収入をカバーするために、増えると予想される副業・兼業のガイドラインを紹介しました。そのガイドラインでは、副業・兼業を認める方向とするものの、企業秘密漏洩や長時間労働を防止する観点から、副業・兼業の内容などの申請・届出が検討されているとのことでした。

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