情報システムセミナーレポート[2018年 新春] 経営管理 利益とリスクを見抜く!事業の持続的成長の勘所
『ビジネスモデル思考』で事業の目利き力を高めよう

2018年2月8日(木) 東京会場

C31
13:00-14:00
利益とリスクを見抜く!事業の持続的成長の勘所
『ビジネスモデル思考』で事業の目利き力を高めよう

夏目 岳彦 氏
ミネルヴァインサイト合同会社 代表社員 / 公認会計士

経営においては、「どんな事業をやるか」と同じか、それ以上に「どうやって持続的に利益を上げ続ける仕組みを作ることができるか」を考えることが、とても重要です。
当セミナーでは、いくつかの中堅企業を題材に、持続的に利益を上げ続ける仕組みを考える「ビジネスモデル思考」を紹介しました。演習を交えた当セミナーは、参加者に「事業の目利き力」を高めるトレーニング機会を提供する講演となりました。

ビジネスモデル思考とは

夏目氏は、企業のコンサルティングを引き受ける際など、まずその会社が「どうやって稼いでいるか=ビジネスモデル」を理解することが重要だと語ります。すなわち、その会社の稼ぎ続ける仕組みを理解することで初めて、経営者と今後の事業展開の方向性や、事業リスクといったことを共有できるようになるということです。「経理財務や給与計算といった定型処理業務は、IT、さらにこれからは、AIの発展などによって、どんどん人の仕事ではなくなっていきます。しかしながら、AIにできないのが、新しいビジネスモデルを構想し、創り上げることです。その構想に求められるのが『事業の目利き力』なのです」(夏目氏)。

夏目氏は「事業の目利きを行う際に、最初に確認するのが、利益モデルです。会社の主力事業が、以下のフロー型利益モデルとストック型利益モデルのどちらであるのかを押さえます。」と語ります。
フロー型利益モデル:同一顧客からの継続受注がないか、もしくは不定期であるため、毎期新たな仕事を獲得するための営業活動が欠かせない事業形態。
ストック型利益モデル:いったん顧客を獲得すれば、同一の顧客からの継続受注が安定的に見込める事業形態。

そして、この利益モデルを支える構成要素として、以下の4項目を整理し、分析します。

  • 資源調達(必要な外部リソース)
  • 商品・サービス(価値を感じる対象物)
  • 対象顧客・販路(顧客属性と関係性)
  • 資金回収(誰からどのように)

事例研究 ‹葬祭場のビジネスを考える›

夏目氏はビジネスモデル思考のトレーニングとして4つの事例を紹介しました。当レポートでは、このうち2つをとりあげます。
最初は、名古屋を地盤に葬儀会館をドミナント展開し、業績を伸ばしている企業です。
この企業の特色として、「料金、サービスを明朗開示」「生前見積もり推奨」「入会金(1万円)のみで月々の掛金不要な会員制度」「FC展開」などがあります。葬儀業界には、老舗の競合他社も多数いる中で、この新興企業が順調に成長できているのはなぜでしょうか? ここで夏目氏は参加者に時間を与え、理由を考えてもらいます。

以下は夏目氏の解説です。
葬儀場のビジネスは、典型的なフロー型の利益モデルです。葬式はライフイベントであり、定期的なリピート受注は期待できません。その上、この業界は、受注がいつ来るかわからない極めて不安定な業態です。この不安定さをカバーするのが積み立てを伴わない利用者にとってお手軽な会員制度です。これにより将来の潜在顧客を囲い込み、非継続的な受注はドミナント展開する近隣の店舗と顧客を共有してカバーして、極力受注機会ロスを出さない。また、自社が展開しないエリアは、フランチャイズにより自社のノウハウを加盟店に供与し、安定したロイヤルティ収入を確保して業績を支える。同業他社がかなりの金額の積み立てを求めたり、病院や介護施設に徹底して営業を行うのとは違うやり方で、利益を安定化させています。もちろん、高齢化社会の到来により、葬儀産業は数少ない成長産業となっています。市場の追い風もうまく拾っているわけです。

事例研究 ‹美容室向けトイレタリー販売事業を考える›

次は、美容室向けにトイレタリー(シャンプー・トリートメント)、整髪料、カラー剤などを製造・販売している会社です。
美容師が顧客のために店内で使用する業務用製品ですが、それを美容室のお客様にも販売することで、美容室は一定の利益を得ることができます。契約した会員の美容室には、セットで無料コンサルを提供しているのも特色です。売上データの分析サービスなども無料で行っているようです。
消費者のヘアケア意識の高まりから業務用のトイレタリー市場は拡大傾向にあります。しかし、この会社はそれ以上の成長率を示しています。非常に競争の激しい業界にありながら、高い利益率を維持し、安定的に成長しているのはなぜでしょうか?ここで夏目氏は再び参加者に時間を与え、理由を考えてもらいます。

以下は夏目氏の解説です。
この会社の利益モデルは、美容室や美容室の顧客にとっての消耗品を販売する、ストック型利益モデルといえるでしょう。ただし、この会社が提供している付加価値は、シャンプーの機能性だけではないことが重要です。この会社は経営理念に「美容室経営の近代化」を掲げています。美容室は個人経営も多く、経営数字管理などを苦手としている美容師出身オーナーも多いはずです。こうした経営者にとって、自社の計数データを繁盛している競合他社のそれと比較分析しながら、経営の相談に乗ってくれる営業マンがいるのは、頼もしいはずです。しかも客単価増につながる商材とその売り方を指南してくれるわけです。つまりこの会社の会員となっている美容室にとっては、こういった経営相談機能こそが真の付加価値となって、この会社の製品を買い続けるわけです。

ビジネスモデル思考と経営の勘所

夏目氏はここまでのいくつかの事例研究を踏まえた上で、「それぞれの利益モデルごとの経営の勘所を考えることが最も重要である」と語ります。
フロー型モデルでは、広告販促営業→集客→受注→販売までの仕組み化や、黙っていても仕事が来る安定した受注経路の構築が非常に重要だと説きます。また、このタイプの利益モデルの企業が、更なる事業拡大を考えるにあたっては、自社の事業の前後のプロセスへの業態の拡大(葬儀だけでなく、墓石も売るなど)により、顧客単価を最大化すること、保守・メンテナンスサービス、消耗品販売といった後続のストック型ビジネスを考えることも重要であると言います。

ストック型モデルでは、囲い込んだ顧客に浮気をされないような仕組みの構築が重要であると説きます。具体的には、解約しづらくするために、複数サービスを組み合わせてワンストップ化を図る、顧客の情報をしっかり蓄積して、その課題解決に貢献し続けることで、最初に相談してもらえる継続リレーションを保つといった努力です。
どちらの利益モデルであっても、継続して稼ぐ方法はいろいろあるということです。自社とは異なる異業種の利益モデルを観察することで、自社の新たな利益モデルの構築のヒントを得る、そういった、思考トレーニングを重ねることが、皆さんの事業目利き力を高めてくれます。今日の話の内容が少しでもヒントになると思ったならば、ぜひ、自社の事業に置き換えて考えてみて下さい。」と訴えて、夏目氏は講演を終了しました。

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