情報システムセミナーレポート[2018年 秋] ERP 急速に進む日本のキャッシュレス化 現状と今後の課題

2018年10月23日(火) 東京会場

A42
14:20-15:30
小売業界におけるキャッシュレス化の現状と今後
FinTech、スマホ決済、仮想通貨、クレジット決済などの動向を探る

山本 正行 氏
山本国際コンサルタンツ代表 / 株式会社電子決済研究所 共同設立者/パートナー

小売業界で急速に進んでいるキャッシュレス化。当セミナーでは、割賦販売改正法や資金決済法などの制度改正に携わってきた山本氏が、現金決済への依存度が高い日本の課題を再検証。小売業界の状況などを紹介しながら、キャッシュレスサービスの現状と今後の動向を解説しました。

政府のキャッシュレス戦略

政府は「キャッシュレス・ビジョン」の中で、2015年時は15%だったキャッシュレス決済比率を、2025年には40%に引き上げると発表しました。この発端となったのは安倍政権が開始した「アベノミクス」と、2020年のオリンピック/パラリンピックを踏まえた「日本再興戦略2014〜2017」です。韓国、中国、米国をはじめ多くの先進国はキャッシュレス化が進んでおり、現状のままではこうした国からのインバウンドを「おもてなし」できないと判断したのです。

制度の統合も進めています。経産省の割賦販売法、金融庁の資金決済法と銀行法において、個々に進めて来た法律・決済サービス・事業者の関係を1つにしようとしています。FinTechが大きなキーワードになる中、経産省と金融庁ともに、本気度を増してきたと思われます。

キャッシュレス化のボトルネック

山本氏は日本のキャッシュレス化が遅れている理由を、次のように考察します。
「手数料が高いこと。諸外国が0.2%〜0.35%であるのに対して、日本は3%にも達しています。さらに、レジを変更するだけの投資効果がない、現場スタッフの対応が困難、そもそもクレジットカード決済を要望する声が少ないことなどがあります。文化的な要因もあります。『浪費しそうだから』『お金の感覚がマヒしそうだから』などと考える人も依然として多いという調査レポートもあります」(山本氏)。

これらを解消するため、キャッシュレス支払の受け入れ推奨や義務化、キャッシュレス専用レーンの設置、教育と啓発、手数料の検討、産官学の強化などを行政が進めています。消費税増税時のキャッシュレス支払の優遇なども話題になっています。

決済サービスの傾向と日本の将来

流通業界では、アマゾンの実店舗進出とウォルマートのネット進出に象徴されるように、「ネット・店舗融合」が見られるようになりました。スマホアプリでもネット・実店舗の融合の傾向があらわれています。

「その合理化の究極的な選択肢が『Amazon Go』ではないかと思われます。客が店舗に入って商品を選んで、出ていくだけで決済が自動的に終了するのですから」(山本氏)。

日本ではまだ現金が有利ですが、政府の取り組みの結果、将来的にはキャッシュレスが有利になっていくと思われます。カードや電子マネーが使えない店舗は、消費者にとって不便な存在になっていくでしょう、と山本氏は推察します。

決済サービスの潮流

決済はB to C(企業と消費者)から、C to C(消費者と消費者)に変化しつつあると山本氏は分析します。これまで決済は企業(加盟店)と消費者の間で行われてきましたが、今後はPayPal(決済プラットフォーム)、AlipayやWeChat Pay(スマホ決済)、Amazon.com(プラットフォーマー)が介在することにより、消費者と消費者が結ばれるようになります。新たな決済サービス代行業者が台頭し、それまで決済機能を提供してきたクレジット会社が黒子化してしまうのです。

新しい決済プラットフォームの特徴

新しい決済プラットフォームの特徴 決済プラットフォームの多くは消費者(個人)、事業者を問わず送金や決済を可能にする

キャッシュレスの将来

キャッシュレスの将来の図

新たな決済サービスの事例として、山本氏は中国で急激に普及してきた2大QRコード決済AlipayとWeChat Payについて紹介しました。双方とも送金(資金移動)と加盟店での支払(決済)のサービスを提供しています。ビックデータ活用も進めており、取引情報、学歴情報、公共料金支払記録などを入手して、AIで自動計算、個人の信用スコアに活用しているといわれています。これを参考に開発したのがLINE Payであり、この技術には日本政府も注目しています。

キャッシュレス化にどう対応するか

政府がキャッシュレス化を後押しする姿勢があり、キャッシュレスレーンの 義務付けや消費税還付(カード払いのみ)を制度化しようとしていることから、「今後は現金オンリーでは商売がしにくくなるでしょう」と強調する山本氏。 「しかし、キャッシュレスサービスの種類が多く、 選択や使い分けがやっかいです」と課題を投げかけ、 選択するべきキャッシュレス決済の優先順位を紹介しました。国際カードでは、Visa、MasterCard、JCBに加えて、訪日観光客対策として中国銀聯。 電子マネーでは、SuicaやPASMO、nanaco、waon、楽天Edy、iD、クイックペイ。 QRコード決済では、訪日観光客対策としてAlipay、WeChat Payの名前が挙がりました。

「現時点ではQRコード決済の利用者は少なく、対応の優先度は低いでしょう。今後はAmazon Pay、LINE Payの動向に注目しましょう」とアドバイスし、セミナーを締めくくりました。

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