情報システムセミナーレポート[2017年 夏] 人事管理 2018年問題 いよいよ待ったなし!
無期転換ルールに対する企業が取るべき対応と同一労働同一賃金のゆくえ

2017年6月8日(木) 東京会場

C51
15:30-16:30
2018年問題 いよいよ待ったなし!
無期転換ルールに対する企業が取るべき対応と同一労働同一賃金のゆくえ

佐藤 広一 氏
HRプラス社会保険労務士法人 代表社員 / 特定社会保険労務士 / 経営法曹会議賛助会員 / ASIA BPO SERVICES PTE.LTD(シンガポール現地法人)ディレクター

平成25年4月に施行した改正労働契約法にともない、平成30年4月より「無期転換ルール」の適用対象者が出てきます。この講演では、特定社会保険労務士である佐藤氏が、無期転換ルールに対して企業の取るべき具体的対応について講演するとともに、「同一労働同一賃金」議論のトレンドも紹介しました。

無期転換ルールとは何か?

従業員の雇用形態には「無期」と「有期」があります。無期は正社員をイメージさせますが、昨今では「本当の正社員」と「限定正社員(職務限定正社員・勤務地限定正社員・短時間正社員)」などに区分して管理することがトレンドになっています。一方、有期とはパート社員のことで、これには「無期転換パート」と「パート」があります。「無期転換ルール」とは、従来の限定正社員と無期転換パートを一括りにして、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのことです。「労働者の二極化を避けるというのがポイントです」と、佐藤氏は解説します。

注意が必要なのは、5年を経て6年目に無期転換の申込みが可能となること。「申込みをされると7年目から無期労働契約に転換され、企業側は断ることができません。」(佐藤氏)。

有期労働契約が1年である場合

引き続き、佐藤氏は、無期転換を放置していた場合のリスクを訴えます。無期転換社員は定年がなくなるのに加え、賃金を改定する根拠も失ってしまいます。正社員就業規則の適用を受け、退職金を要求される恐れもあります。一方で、契約社員が無期転換した際に、例外的な「別段の定め(労働協約、就業規則、個別労働契約)」により、労働条件を変更することができます。

企業が取るべき対応(無期転換を許容する場合)

佐藤氏は、来場者が興味を寄せる企業が取るべき対応に解説を進めます。企業は前提として、無期転換を「許容する」か「許容しない」かを決定する必要があります。まずは許容する場合。従来のいわゆる「正社員」との関係を考慮して、その位置づけを明確にすることが求められます。「単に待遇を追加するのではなく、管理区分を明確にする『雇用のグランドデザイン』が必要になります」と、佐藤氏は強調します。

次に、直前の有期労働契約の内容と同一にするのか、「別段の定め(労働協約、就業規則、個別労働契約)」を設けるのかを選択。有期労働契約の労働条件を無期転換後に変更させたい場合は、「別段の定め」を規定しておく必要があります。該当する就業規則を変更する場合は、平成30年3月31日までに整備しなければなりません。

さらに、佐藤氏は、就業規則の作成例も示します。そのポイントは、「正社員就業規則の定義を確認し、適用関係を明確にする」こと。規定例として以下を紹介しました。

(従業員の定義)
1. 正社員
本規則第○章に定める手続きにより正社員として採用された者であって、契約社員、パートタイマー、無期転換社員に該当しない者
2. 無期転換社員
労働契約法第18条の定めにより有期契約社員(契約社員・パートタイマー)から無期労働契約に転換した者。

続いて示したポイントは、以下の4つです。
・所定労働日や始業終業時刻等の労働条件を定期的に変更できるようにしておく
・定年の定めは必須
・第二定年も合わせて検討する
・無期転換権の申し込み手続きを定める
会場では多くの来場者がメモを取りながら、熱心に聞く姿が見られました。

企業が取るべき対応(無期転換を許容しない場合)

もちろん無期転換を許容しないケースも考えられます。時期の契約に不更新条項を、あるいは雇い入れの際に更新上限を設ける、ということです。ただし、その就業規則・労働契約書作成のポイントとなるのは「例外のない厳格的な運用」であること。この規定例も佐藤氏は示して解説します。また、「更新上限で雇い止めし、正社員・限定正社員へ登用する」ことによって、有能な有期社員を登用する裏技も紹介しました。

同一労働同一賃金のゆくえ

最後に佐藤氏が取り上げたのは、動向が注目されている「同一労働同一賃金」。そのガイドライン案が示され、「正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指す」ものであることを強調しました。

企業は、このガイドラインに沿って、「諸手当」「賞与」「基本給」を見直すことが求められます。諸手当に該当する「役職手当」「特殊作業手当」「特殊勤務手当」「精皆勤手当」「時間外労働手当」「深夜・休日手当」「通勤手当・出張旅費」などは、同一の支給が求められるでしょう。賞与も貢献度が同じであれば、同一の支給を求められることになるでしょう。しかし、「基本給は、職能給・成果給・年俸制・勤続給・昇給もあることから、同一は困難でしょう」と佐藤氏は予測します。

また、今後の予定として「3回の春闘を経験し、三法一括改正へ持ち込む心づもりのようです」と、次の図を示し、講演を終了しました。

2016年12月20日:同一労働同一賃金ガイドライン案 2017年2月〜3月:春闘@ 2017年10月:秋の臨時国会 法案提出→成立 2018年2月〜3月:春闘A 2019年2月〜3月:春闘B 2019年4月1日:改正三法施工 同一労働同一賃金ガイドライン

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