情報システムセミナーレポート[2017年 夏] 経営管理 ベストセラー「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」の著者が語る
意思決定をサポートするための実践的管理会計・原価管理活用術

2017年6月6日(火) 東京会場

A12
9:45-11:00
ベストセラー「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」の著者が語る
意思決定をサポートするための実践的管理会計・原価管理活用術

林 總 氏
公認会計士・経営コンサルタント / 明治大学会計専門職大学院 特任教授

「餃子屋 vs 高級フレンチ」、あるいは「寿司屋のコハダ vs 大トロ」、儲かるのはどちらでしょうか? その答えは、意外にも両方とも前者。その理由は、キャッシュを稼ぎ出す回数(スピード)の違いにありました。身近な疑問から管理会計の神髄を説くことで人気の林氏の講演には多くの来場者が詰めかけました。

決算書を読めなくても経営はできる?

冒頭で、林氏は来場されたお客様に、以下の3項目を問いかけます。

@決算書を読めなくても経営はできると思いますか?
A決算書の数字は会社の業績を正確に表していると思いますか?
B利益が増えれば会社は順風満帆だと思いますか?

よく耳にする言葉ですが、これらがすべて誤りであることを指摘します。
@の理由として、ドイツの文豪であり政治家だったゲーテの言葉を引用し、「複式簿記は人間の精神が産んだ最高の発明の1つ。立派な経営者なら誰でも、経営に取り入れるべき」と紹介しました。
Aについては「利益は売上と費用との差額概念。手にとって確かめることはできないため、会計学の2年生でさえ損益計算書は化粧できる」と警告します。
Bについては「利益を追求することは、明日のための商売をないがしろにすること。最も拙劣なマネジメントに陥る危険性が大きい」と解説します。

大切なのは短期利益よりキャッシュ

林氏は「大切なのは儲け(キャッシュフロー)です」と訴えます。企業は、十分なキャッシュフローさえあれば、利益が出なくても、どうにかしのぐことができます。しかし、キャッシュが底をついたために、利益のある成長部門を手放さざるを得なくなった企業は、たくさんあります。これはドラッカーも説いていることです。

この利益構造の確認には「変動費」と「固定費」の把握が必要になります。変動費とは売上高と比例して生じる費用で、商品仕入れ代、材料費、外注費、販売手数料など。固定費は変動費以外の費用で、会社を維持するために必要な費用です。

そして、「限界利益」は、「売上高(入ってくるお金)—変動費(△の売上)」のことであり、会社に残るお金のこと。売上が増えれば限界利益は比例して増えるのに対し、固定費は売上とは無関係にほぼ一定額に発生します。売上に対する限界利益の割合を「限界利益率」といいます。また、損益分岐点売上は「限界利益=固定費」となる売上のポイントであり、損益分岐点を超えることで利益が発生します。

「餃子屋と高級フレンチ」では、どちらが儲かるか?

以上を餃子屋に置き換えると、限界利益率は低く、固定費は少ないため、損益分岐点は左側にあります。売上が伸びても利益が急激に伸びることがない反面、売上が減少して損失もわずかです。いかにも個人商店らしい手堅い商売です。

これと比較して高級フレンチではどうでしょうか。餃子屋と比較して限界利益率は高く、固定費が多いため、損益分岐点も右側よりになります。売上高の変化に大きく影響され、景気のいいときには儲かり、景気が落ち込むと利益も大きく減少する商売といえるでしょう。
ところが現実はもっと複雑です。餃子屋も、個人商店ではなく規模を拡大してチェーン展開していくと固定費は必要になり、利益構造は高級フレンチと似てきます。さらに利益率が同じでも、儲けは大きく異なる点にも留意する必要がある、と林氏は続けます。これが次のコハダと大トロの違いです。

「コハダと大トロ」では、どちらが儲かるか?

寿司屋でおなじみのコハダと大トロを例に取ります。
コハダは毎日1回200匹を1万円で仕入れ、これを2万円で販売。一貫100円(原価50円)を1日200貫売ります。対して大トロは毎月1回10kgの大トロを30万円で仕入れ、 毎日原価1万円分を2万円で販売。一貫1000円(原価500円)を、1日20貫売ります。
双方、月に換算すると60万円の売上で30万円の利益。営業キャッシュフローは同じように見えます。 「ここで着目するべきは『利益ポテンシャル(P.P)』。在庫がどれだけの利益を稼ぐか、キャッシュ獲得能力で判断するのです」と林氏は解説します。 P.Pは「利益率×在庫の回転スピード」で計算でき、大トロの在庫の回転スピードは1カ月に1回ですが、コハダは1カ月に30回となります。コハダの方が日々キャッシュを稼ぎ出す力を持っていることになります。

これは餃子屋と高級フレンチでもまったく同じ。ワインやチーズなど高級食材を持たなければならない高級フレンチは、生鮮のみを扱い在庫を少ししか持たない餃子屋と比較しますと、在庫の回転スピードにおいて極めて不利になります。キャッシュを稼ぎ出す力は餃子屋やコハダに軍配が上がるというわけです。

最後に林氏は「経理部門のミッションは経営参謀となることです。経理部門は利益の増加、そして現金の増加に貢献できなければなりません」と語ります。さらに「システム化(ERP)においても、業務がわからないからとSI会社に丸投げするのではなく、システムと業務の両方がわかる経営参謀になってください」と呼びかけました。

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