情報システムセミナーレポート[2017年 秋] 経営管理 会計目線で企業事例を読み解く
勝ち抜く企業の秘訣

2017年10月27日(金) 東京会場

D11
9:30-11:00
会計目線で企業事例を読み解く
勝ち抜く企業の秘訣

小宮 一慶 氏
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役会長CEO

強い企業はなぜ強いのか。苦戦している企業はなぜ苦戦しているのか。
当セミナーでは、経理担当者や経営層を対象に、混迷する時代を勝ち抜くために、同業・異業界企業を会計目線で分析し、経営戦略に活かすことを推奨。具体例として鉄鋼3社を取り上げ、財務諸表の見方の解説を中心に、現状と将来を分析しました。

経営の仕事とは

小宮氏は、経営の仕事には3つあると解説します。それは「企業の方向付け」「資源の最適配分」「人を動かす」です。「中でも最も重要なのが企業の方向付けです。管理を仕事と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、管理だけでは成長できません。経営の本質は、何をやって何をやめるかを正しく判断することにあります」と強調します。

この正しい判断のために必要となるのが、社会の動きに敏感になること。例えば新聞のトップ記事は必ず読むように心掛けます。ここに興味が持てないようでは社会の動きからずれてしまうことになりかねません。「『会社』という文字は『社会』を反対にした言葉です。社会の動きから逃れることはできません。社会の動きに関心を持ち、会社の方向性を決めなければなりません」(小宮氏)。

財務諸表の読み方

今回、財務諸表の具体例として取り上げたのは、日本の鉄鋼3社。一時期は、中国の増産に押されていましたが、現在では市況もだいぶ回復しています。

●セグメント別業績
小宮氏は、まずA社の決算短信を取り上げ、「決算短信のセグメント別業績を見ることで、その企業がどのようなセグメントを持っているか、資産をどのように配分しているかが分かります」と、小宮氏は解説します。

方向付けを観る際の参考資料となるのがセグメント利益とセグメント資産です。これにより持てる資産をいかに効率的に使っているかが分かります。また、売上高を資産で除することで、「資産回転率」を計算することができ、資源が適正配分されているかどうかの参考指標になります。「資産回転率は、製造業の場合には1倍程度が標準と言われていますが、鉄鋼のように社歴が古くなると資産は膨らみがちです」(小宮氏)。また、資源の最適配分の参考となる数値が、セグメント資産の資産合計額に占める割合です。

●貸借対照表
貸借対照表は、左側が「資産の部」で右側が「負債の部」と「純資産の部」です。右と左のバランスが取れていることから「バランスシート」と呼ばれます。純資産と負債の違いをどのように理解しているでしょうか、と小宮氏は会場に問いかけます。

「経理や会計を勉強している方は、純資産は自己資本、負債は、他人資本と答える人が多いですが、これは大きな間違いです。純資産は「返す必要のないお金」、負債は「返さなければならないお金」と覚えてください。負債、つまりお金を返せなくなって、会社はつぶれるのです」(小宮氏)。

中長期的な安全性を示すのが、「自己資本比率(純資産÷資産)」です。製造業のように固定資産の多い業種では20%以上が望ましいとされており、A社を安全圏と分析しました。また、小宮氏が真っ先に見るのが、流動資産。とりわけ現預金が重要で、これがなくなったときに会社は倒産すると指摘します。

●損益計算書とキャッシュ・フロー計算書
損益計算書では、売上高や原価、利益が分かるほか、「持分法による投資利益」と「持分法による投資損失」を見ることによって、関連会社の損益を知ることができます。

キャッシュ・フロー計算書は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」で構成されます。確認したいのが「減価償却費」と「有形及び無形固定資産の取得による支出」の差。「投資活動への姿勢がここに見られます。有形、無形固定資産への投資が減価償却費より同額程度以上であれば、将来への成長を期待できます」(小宮氏)。

引き続き、B社、C社の財務諸表についても同様に分析していきました。

日本経済の見方

小宮氏は、鉄鋼3社を例に経営分析を展開してきましたが、最後に景気指標をベースに日本経済への警鐘を鳴らしました。

2017年の4−6月期の名目国内総生産は、年換算で542.8兆円、株価も上昇を続けており、日本経済は、安泰に見えます。アベノミクスが開始された2013年は、507.4兆円で、以来名目GDPは増えています。「しかし、これはもっと長期を見れば伸びていません。名目GDPとは、付加価値です。日本の付加価値が伸びていないのです」(小宮氏)。

政府はかつて、2020年には、600兆円にすると宣言しましたが、今では時期を明確にしていません。名目GDP(=付加価値の合計)から最も支払われているは給与ですが、ひとりあたりの平均給与が最高額を記録したのは、1997年で、これ以来伸びがありません。ほかの先進国はほとんどが成長し、日本のみが足踏み状態です。この間この国の経済が伸びていないのです。
『それは国家の成長戦略をどう描くかにかかっていますが、これは個々の企業で決めることはできません。それよりも、何より大事なことは、みなさま一社一社に於いて「企業の方向付け」「資源の最適配分」「人を動かす」かを考えていただき、財務諸表を確認していくことです。名目GDPは、付加価値を全部足したものですから、毎年5%ずつ自社の付加価値を増やしていくことで、理論的にこの国は5%成長できるのです。そのために、自社の利益つまり付加価値を増やしていってください』と小宮氏は、講演を締めくくりました。

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