情報システムセミナーレポート[2017年 秋] 会計管理 収益認識はこう変わる!
公開草案の概要と日本基準との相違ポイントを解説

2017年10月26日(木) 東京会場

C11
9:30-11:00
収益認識はこう変わる!
公開草案の概要と日本基準との相違ポイントを解説

森居 達郎 氏
有限責任 あずさ監査法人 パートナー

企業会計基準委員会(ASBJ)は、「収益認識に関する会計基準(案)」を2017年7月に公表。当セミナーでは、公開草案の骨子の解説、および日本基準との主な違いについて解説しました。重要な財務情報である収益に関する注目の会計基準だけに、会場では、熱心にメモを取りながら聞いている参加者のかたが多く見られました。

緊急解説:公開草案の概要

登壇した森居氏は、冒頭で「緊急解説」と映し出された資料映像を示し、「この7月に草案が公開され、10月20日に意見募集が締め切られたばかりです。今回の『収益認識に関する会計基準』は日本企業に与える影響は、最も大きいといえるでしょう」と呼びかけました。

そもそも、日本には収益認識における総括的な会計基準が存在しませんでした。それが、ASBJによってやっと草案がまとまったのです。その基本方針はIFRS第15号の定めをすべて取り入れること。そのため、今後認められなくなる日本基準もありますし、日本の実情に合わせるためにIFRS第15号から除かれた部分もあります。

収益認識のための5つのステップ

今回の草案では、「収益認識のための5ステップ」を採用しています。森居氏は、これらを具体的に解説していきました。

●Step1 契約の識別
「契約の識別」では、適用対象となる契約が存在しているかが問われます。「経済的実質がある」「対価を回収する可能性が高い」「財・サービスに関する権利および支払条件を識別できる」「当事者が契約を承認し、義務の履行を約束している」をすべて満たしている場合にのみ、契約が存在しているとします。

同一の顧客(または顧客の関連当事者)と同時(またはほぼ同時)に締結した複数の契約においては、同一の目的や価格の影響がある場合は、結合して1つの契約とみなします。契約変更が発生した場合は、一定の要件を満たす場合には、契約変更を独立した契約として処理します。

こうした原則的な取扱いに対して、契約変更では重要性が乏しい場合、既存の契約を解約して新しい契約を締結したものと仮定して処理、または既存の契約の一部であると仮定して処理する「代替的な取り扱い」も示されています。「これは救いの手のような意味合いを持つかもしれません。重要性が乏しい場合は、契約の識別に関連し、識別する単位の現状から変更をしない処理も許容される可能性もあります」と森居氏は補足します。

●Step2 履行義務の識別
公開草案では、契約の中で、顧客といくつの区別できる約束(履行義務)をしているかを検討し、その1つひとつを単位として収益を認識します。これには要件が2つあり、1つ目は、財・サービスから単独で(あるいは顧客が容易に利用できる他の資源と組み合わせて)顧客が便益を享受できること。しかし、例えば機械の販売と据付のように区別が困難な場合もあります。

要件の2つ目は、財・サービスを顧客に移転する約束が、契約に含まれる他の約束と区分して識別できること。これも難しく、建設中の建物では区別して約束されないものもあります。「他にも買い物ポイントやマイレージのように、区分が難しく議論されているものもあります。履行義務の識別についても代替的な取り扱いが示されており、重要性が乏しい場合は約束が履行義務であるかどうか識別することを評価しないことができるとされています」(森居氏)。

●Step3 取引価格の算定
取引価格とは、財・サービスの移転と交換に権利を得ると見込む対価の額のこと。取引価格の算定に際して考慮する事項として、変動対価、現金以外の対価、顧客に支払われる対価など、重要な金融要素があります。「消費税、たばこ税、揮発油税、酒税等を収益として会計処理することが認められず、収益の自体金額が変わり、実務に大きな影響を与えることになる可能性があります」(森居氏)。

●Step4 履行義務への取引価格の配分
識別した履行義務に対して、契約の取引価格をそれぞれの財・サービスの独立販売価格の比率で配分することが大原則です。ここでは、独立販売価格を直接観察できるかという問題があり、重要性が乏しい場合は、代替的な取り扱いとして、残余アプローチを使用することが許されています。

●Step5 履行義務の充足による収益の認識
履行義務を充足したときに(または、充足するにつれて)、収益を認識します。企業が顧客に対する約束(履行義務)をどのように果たすかという、2つの履行パターンに注目する必要があります。

1つは、一定の期間にわたり充足するパターン。一定の期間にわたって収益を認識するための要件が明示されており、その判定結果によっては、現行実務と取り扱いが異なる可能性があります。もう1つは、一時点で充足するパターン。財またはサービスに対する支配の移転に焦点を当てており、ケースによっては収益を認識する時期が変わる可能性があります。

個別論点と適用時期

「収益認識のための5つのステップ」の大論点に引き続いて個別論点に入ります。ここで森居氏は「財またはサービスに対する保証」「本人と代理人の区分」「追加の財・サービスを取得するオプションの付与」などについて解説しました。

そして、肝心な適用時期について。「2018年30年3月までの確定を目指しており、早期適用として4月1日からの適用が認められ、強制適用は2021年4月1日以後開始する事業年度となることが示されています」と説明され、森居氏のセミナーは終了しました。

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